IQとは?定義や種類、IQの高い・低いは何を意味する?
IQが高い、低いという言葉は日常生活の中でもよく耳にし、何となくIQが高い=頭が良いというイメージがありますが、IQの高さは頭の良さにつながるのでしょうか?実際、そういった側面もあるかもしれませんが、実はIQの算出方法にも様々な種類があり、それぞれ測定できるポイントが異なります。ここでは、そもそものIQの定義やその算出方法を知ることで、IQがどのように使われるべきか詳しく見ていきたいと思います。
目次
そもそもIQとは?
IQとは知能を表した数値 = Intelligence Quotient
IQ(正式名称知能指数)の定義は厚生労働省の健康辞書によると以下のとおりです。
「知能の水準あるいは発達の程度を測定した検査の結果を表す数値。知能のおおまかな判断基準とされると同時に、知的障害などの診断や支援に利用されている。」
つまり、知能を数値化したものがIQです。次はどのように数値化されているかを詳しくご紹介していきます。
IQには2種類の算出方法がある
従来のIQ=年齢算出型IQとは?
知能指数(IQ)という言葉は1910年代のドイツで生まれました。心理学者のウィリアム・スターンがブレスラウ大学で知能テストのスコアの算定方法を考案した際に使用され、知能テストの結果で得られた精神年齢を生活年齢で割った値を「知能指数」と定義しました。 算出した指数に100をかけた値がIQスコアとなります。
計算式:精神(知能)年齢÷生活年齢(実年齢)×100
精神年齢と言うと、実年齢に比べて性格が大人びているか子供っぽいかどうかのように聞こえますが、性格ではなくその人の知的能力を指し、誤解を招かないために知能年齢や発達年齢と呼ぶこともあります。それに対する生活年齢とは、暦年齢や実年齢とも呼ばれ、暦上のその人の年齢を指します。
この算出方法では年齢が異なる人同士では知能の比較ができず、使用される精神年齢が成人移行はあまり有用ではないなどの問題点があったため、近年では、IQは同年齢のグループ内で他者と比べた際の一般的な知能を示すための指標として使われています。
しかし、IQという言葉はここから確立されました。
IQは、その算出方法から大きく2つに分類できます。精神年齢と生活年齢から算出する「従来の知能指数(IQ)」と、同年齢集団内でのスコアを位置を基準とした標準得点としての「偏差知能指数(Deviation IQ, DIQ, 偏差IQ、偏差値知能指数)」です。
偏差知能指数(DIQ)とは?
DIQは正規分布 (ガウス分布)に従い分布するため、に従い分布するため、平均は100、標準偏差は15の検査を用いて「同年齢の集団の中でどの位置にあるか」を測定します。現在では従来のIQ測定方法は使われなくなったため、一般的にIQという場合、DIQの測定方法に則って測定されていると考えてください。
計算式:(個人の得点−同じ年齢集団の平均)÷([15分の1または16分の1]×同じ年齢集団の標準偏差)+100
IQスコアの分布 - IQの高い・低い・平均はどれくらい?
IQスコアと人口に占める割合
DIQにおいてIQは相対的に測定されます。平均的なIQは100で、85~115の間に約68%の人が収まり、約95%の人は70〜130の間に収まります。 高いIQを持つ人は、理論上は平均的なIQの人よりも知能が高いということになります。
例えば、IQ132は人口の98%よりも高い知能を持つことを示しますが、グループ内での位置付けを示すだけであり、 その人自身の問題解決能力、論理的な思考能力が完全なものであることを示すものではありません。
一般的な知能評価の分類
各IQスコアに対する一般的な知能評価は以下のとおりです。ちなみに、メンサのIQテストは上位3%IQを持つ人しか合格できないと言われています。
境界線級とは、明らかな知的障害とは言えず、環境に応じて自立して社会生活ができると考えられるものの、状況によっては周辺のサポートが必要なレベルを指します。
IQスコア | 一般的な知能評価の分類 | 人口に占める割合 |
---|---|---|
≥ 140 | 天才 | > 0.4% |
130-139 | 極めて優秀 | 2.3% |
120-129 | 優秀 | 6.4% |
110-119 | 平均の上 | 15% |
90-109 | 平均 | 47% |
80-89 | 平均の下 | 14% |
70-79 | 境界線級/ボーダーライン | 5.8% |
50-69 | 軽度知的障害 | 2.2% |
35-49 | 中度知的障害 | |
20-34 | 重度知的障害 | |
< 20 | 最重度知的障害 |
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IQにも種類がある
成人用の知能検査として代表的な WAIS-III(ウェクスラー知能検査WAIS第三改訂)では、このテストでは動作性検査と言語性検査を用いて知能を検査し、IQ結果が3種類に分類されます。
言語性IQとは?
言語性IQとは言語に関わるテストから測定されるIQ値で、テストには次のような内容が含まれます。
知識 | 文化によって獲得した一般知識の程度。(例「ビクトリアの長は誰ですか?」) |
理解 | 抽象的な社会慣習、規則、経験を扱う能力。(例「一石二鳥という諺はどのような意味ですか?」) |
算数 | 数学問題を暗算する集中力。(例「1ドルで45セント切手を何枚買えますか?」) |
類似 | 抽象言語理解。(例「りんごと梨はどのようなところが似ていますか?」) |
単語 | 学習や理解の程度、および語彙の言語表現力。(例「ギターとは何ですか?」) |
数唱 | 注意・集中。(順唱例「1-2-3」、逆唱例「3-2-1」) |
語音整列 | 注意と作動記憶。(例「き・4・け・3・か」を、昇順に数字を言い、その次に昇順に発音して下さい→「3・4・か・き・け」) |
動作性IQとは?
動作性IQとは動作に必要な能力を測定するテストによるIQ値で、項目は以下のとおりです。
絵画完成 | 視覚的細部を素早く感知する能力。 |
符号 | 視覚的-運動協応、運動と心のスピード。 |
積木模様 | 空間認知、視覚的抽象処理、問題解決力。 |
行列推理 | 非言語的抽象課題解決力、帰納的推理、空間推理。 |
絵画配列 | 論理/逐次的推理、社会見識。 |
記号探し | 視覚認知、スピード。 |
組合せ | 視覚分析、統合、組み立て。 |
全検査IQとは?
言語性IQと動作性IQをあわせた合計得点が全検査IQとなり、一般的に言われている知能指数IQを指します。
IQスコアの一つひとつがすべての知能をカバーしている訳ではない
細分化して定義されているIQですが、実は 心理学者の間で知能とは何かについての共通概念は無く、複数の能力が複雑に絡み合っていると考えられています。そして既存のIQテストで測定できると考えられているのは、主に言語的機能や論理数学的機能と言われる能力です。つまりIQが高いことと頭が良いことは完全にイコールではなく、IQが低い結果が出た人もIQテストでは測れない領域で高い能力を発揮する可能性もあるのです。
IQスコアを上手く活用するには?
IQテスト(知能診断)はその人の得意・不得意な分野を知ったり、支援が必要な障害が無いかどうかを確認したりする上で非常に有効です。しかし、それだけでその人の能力全てを測ることが出来ないのも確かです。
テストの結果だけに左右されず、IQ結果を参考に一人ひとりの得意・不得意分野を見極めていくことが重要です。
まとめ:IQから分かることは色々あるが全ての能力は測れない
現在のIQは、ある集団の中で自分の知能がどの位置にあるかを数値化したものを指すということがわかりました。全体の中で数値が高い人のIQが高く、中にはメンサに入れるレベルの人もいます。
しかしIQテストで調べられるのはあくまで知能の一部であり、テストの中で測れない能力があることも頭に留めておくと良いでしょう。